
2つのDCモーターで扇風機の静音と使いやすさを追求したThe GreenFan|Deep Dive into BALMUDA
バルミューダの歴史を伝えるマガジン「BALMUDA Chronicle」第3回で、世界初のDCブラシレス・モーター扇風機「The GreenFan」の誕生ストーリーを紹介しました。渦のない“面で広がる風”を生み出す二重構造の羽根を用いた扇風機は、DCブラシレス・デジタルモーターとの組み合わせで常に回転速度が安定し、かつ静かで省エネというメリットが生み出しました。

バルミューダの各製品に対するスタッフの取り組みを紹介するマガジン「Deep Dive into BALMUDA」。今回は、The GreenFanが届ける体験の完成度を、どのように高めていったかについて、イノベーション本部 R&D部 部長の小久保周の話を交えながらお届けします。

DCブラシレス・モーターとは
そもそもDCブラシレス・モーターとは、どのようなものなのでしょうか。
「まず、“DCモーター”というのは、直流電流で駆動するモーターです。直流だとトルク制御を細かくできるので、低速でも高速でも回転が安定します。ACモーター(交流電流)、DCモーター共に様々なタイプが存在するので、一概にどちらがいいとは言えませんが、The GreenFanでは4段階ある風速それぞれが気持ちよく感じられるよう、DCモーターならではの緻密な制御を行っています。次に“ブラシレス・モーター”というのは、モーター内部のコイルに電気を流す接点部である“ブラシ”が、その名の通り“無い”モーターになります。物理的なロスがなくなるのでエネルギー効率が高まり、結果、省エネにつながります」(小久保)


特許技術の首振り機能
The GreenFanは、“首振り”にもこだわりがあります。「どこでもターン」という首振り機能は、実際にヘッドの部分を手で動かすことで、直感的に風を送る範囲を指定できるというものです。一般的に扇風機のヘッド部分など、モーターを手で動かすことは故障につながると言われてきましたが、The GreenFanは、あえてその“やりがちなこと”を操作法に取り込むことで、送風を自由に操れる機能を実現したのです。


「通常、扇風機の首振り機能は、羽根を回転させるメインモーターの力を変換して、首振りに応用する仕組みになっています。しかし、The GreenFanは、首振り用に別途DCモーターを搭載しています。どこでもターンのため、完全に軸を中心に首が回るようにする必要があったからです。私が知る限り、首振りのためにこんな高度な技術を導入した扇風機は存在しません。この“どこでもターン”は、特許取得済みの仕組みです」(小久保)


「こちらもDCモーターなので、首振りをオンにしても、ほとんど動作音はしません。緻密なトルク制御により、ほかのどの扇風機よりも安定した速度で首を振り続けます。また、首振り時に電源をオフにすると正面を向く(戻る)ように設計していますが、この戻る速度が、ヘッドの位置によって変わる仕組みになっています。たとえば振り切っている時は、比較的早めのスピードで正位置へ戻っていきます。たいへん細かい部分ですが、使い手の印象はこうしたことでだいぶ変わってきます」(小久保)


なお、首振り機能の開発中に、こんなエピソードがあったという。
「毎日、会議室に篭って実験するんですが、あらゆる音をシャットアウトした環境をつくるため、蛍光灯なども消すのです。薄暗くて静かな部屋に心地よい風が吹いているので、気付くとみんな寝ているんですよね(笑)。側から見たら、仕事してないと思われていたかもしれません」(小久保)
絶妙なポールの取り付け具合
The GreenFanは中央ポールを外してショートサイズにできるほか、保管時にコンパクトにしてしまっておくことができます。この組み立て機構についても、開発時に徹底した検証が行われました。

「何よりもフルサイズ状態における安定感が大事です。少しもガタつくことは許されないので。しかし、結合部を硬くしすぎると、組み立て・取り外しが大変な作業になってしまいますし、強度にも悪い影響が出てしまいます。そのバランスを取るのに非常に苦労しましたね。最終的には、パチっとハマってしっかり固定される機構を採用することで、手軽さと安定感の両立を果たすことができました」(小久保)

コードレス化へのこだわり
The GreenFanは別売のバッテリー&ドックで、コードレス化が可能です。

バッテリーをThe GreenFanの底部に格納したら、付属のドックの上にThe GreenFanを置くだけで充電できるようになります。アダプターを抜き差しする手間が要らないので、家中どこでも手軽にThe GreenFanを持ち運べるようになります。


「とにかく充電の手間を感じずに使ってもらえることを意識しました。置くだけでいいんですと。しかし、やわらかい絨毯などの上ではドックが沈んでしまったりして、なかなか一筋縄にはいきません。最終的には、本体側の端子部を“すり鉢”形状にすることで、ドックが端子へ誘導されていくようにしました。また、ある程度押し込まれないと通電しないよう、安全対策も施しています」(小久保)

新しい羽根を発明し、DCブラシレス・モーターとの組み合わせで自然界の風を再現したThe GreenFan。長く愛用いただくため、こうした細かい部分への徹底したこだわりで完成度と使い勝手を高めていく努力を続けています。

The GreenFanのことがもっと気になったという方は、以下の特設サイトでより詳細に解説していますので、ぜひご覧ください。